「Happy+=ハッピープラス」 No.25

「エンペラーペンギンの足もと」

 日本の気温で1番寒い時期である1月末から2月上旬は、朝晩の冷え込みが強くなり、足の冷えがつらいとご相談が増える時期です。

 ヒトの足が冷えやすいのは、からだの中心部に血液を集めて体温を維持し、末端である手先や足先には血液が行き渡りにくくする「恒温動物」だからです。しかし、同じ恒温動物でも、風速30m/s、気温マイナス60度にもなる極寒環境の南極に住むエンペラーペンギンは、なぜ裸足で氷の上の生活ができるのでしょうか。

 エンペラーペンギンは、寒さに強い体で過酷な集団繁殖をしています。メスは卵を産むとすぐに餌を求めて海へ出ます。その間、オスが冷たい氷上で卵を自分の足の甲の上にのせ、おなかの皮をかぶせて卵を孵します。極寒のブリザードから100日間も大切な子供を守り続け、寒さがより厳しくなると、みんなでくっつき温め合いながらメスが返ってくるのを待つのです。厳しい環境の中でも必死に生きるペンギンたちのたくましい姿に感銘をうけますね。

 南極に住むペンギンの足の裏が特殊なのでしょうか?いえいえ、実はペンギンの足も私たちの爪と同じくたんぱく質であるケラチンと骨でできており、特別頑丈と言うわけではありません。それにもかかわらず、足が冷えずに3か月も極寒環境で立ったまま卵を温めることができるのは、ペンギンの足の血管には「対向流熱交換」と呼ばれる仕組みがあるからです。

 「対向流熱交換」とは、足先に行く血管に、心臓に血液を戻す血管が巻き付き、暖かい血液が足に流れ込むと、足先で冷えた血液が体の中心へ戻る時に温まるという仕組みです。このような仕組みがあるのでペンギンは雪の上を裸足で歩いても平気なのです。ざんねんながら、私たちヒトにはエンペラーペンギンのような特殊な血管構造はありません。

 皆さんは、足を冷やさない為の工夫はされていますか?
レッグウォーマーの着用、靴下2枚履き、腰や足にホッカイロを貼っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?暖房器具や保温グッズの活用、足浴、足の運動やストレッチ、マッサージや体を温める食べ物を食べたりしながら、寒い冬を乗り越えていきましょう。

足のナースステーション 歩っとLife 長利 麻衣子
監修:足のナースステーショングループ

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