「ランドセルの歴史と問題」
春には「ピカピカの一年生」が大きめのランドセルを背負い、真新しい靴を履いて通学する姿を目にするようになります。そこで、日本の風土に慣れ親しんでいるランドセルの歴史と今の子どもたちの問題について調べてみました。
ランドセルは、幕末の江戸時代にオランダの布製の「背(はい)のう」を輸入し軍隊で活用されるようになったのが始まりで、語源はオランダ語に由来する「背負い鞄を意味する「ransel(ランセル)」という言葉が変化して「ランドセル」と呼ばれるようになったようです。
日本で初めて小学校にランドセルを導入したのは、明治10年10月に開校した学習院初等科ですが、この頃は、リュックサックのような形だったようです。その後、明治20年大正天皇が学習院へご入学される際、伊藤博文初代内閣総理大臣が布製の通学カバンを献上したことがランドセルの原型のようです。
昭和30年以降、学習用品や宿題が増える小学生にとって荷物を背負うことで両手が自由に使え、動きやすくなった事でランドセルは全国的に普及し、日本の小学生のトレードマークとなりました。
平成に入りランドセルは多様化し、黒色と赤色しかなかったものが、色鉛筆のような多色展開を始め横方や変形型も誕生しています。
最近の子どもたちは、ランドセルの中に教科書・副教材やタブレットなどの学習に必要な道具をいれて登校しています。沢山の荷物をランドセルの中に入れ通学することで、肩こり・頭痛・筋肉痛・腰痛の症状や、通学を憂鬱に思う子ども達がいるようです。このような、体と心の不調のことを「ランドセル症候群」と言うようです。
ランドセル症候群を防ぐためのランドセルを背負う際のポイントは、
① 重い荷物は背中側に密着させると軽く感じられるので、中で荷物が動かないようにする。
② 肩ひもを短くし、背中にフィットする位置でベルトを調整する。
③ 肩ベルトの左右をチェストストラップで固定させ、肩への負担軽減と体幹を安定させる。
また、子どもたちの土台となる足の成長からランドセル症候群を考える必要性も高いと考えます。
第一に、小学校の入学前(5~6歳)の頃、土踏まずは80~90%形成されます。だだ、現代の子どもは昔と違い環境の変化もあり土踏まずの形成が遅れていると言われており、土踏まずの形成が未完成の状態で重たいランドセルを背負うことで歩行時の衝撃吸収が出来ずに姿勢が悪く疲れやすくなります。そこで、ニュートラルポジション(踵の中軸位)を整える機能性のある靴選び・適切な靴の履き方が重要となります。
子どもの足は1年で2㎝程度伸びることもあり、つま先に0.7㎜~1.2㎜の余裕のある靴を3ヶ月毎に確認し小さければ買い替えましょう。また、靴を履く時は、つま先を上げて「踵トントン」靴紐・マジックベルトをしっかり締めるように教えることも必要です。
足のナースステーション 虹の架け橋
綱 あけみ
監修:足のナースステーショングループ