「災害支援における足の健康管理の重要性」
人は、多発する地震や自然災害による被災を受け、多くの教訓から学び防災対策を見直してきました。日本では、1982(昭和57)年に関東大震災以来9月1日を「防災の日」。そして、翌年には全国的な防災対策を各地で取り組む為に、防災の日を含む一週間(8月30日~9月5日)を毎年「防災週間」と定めました。
2024年1月1日におきた能登半島地震は、「いつ・誰が・どこで」どの様な被災を受けるか分からない不安を抱き、防災意識の高まりとともに、防災対策を見直すきっかけとなりました。
私たち足のナースステーションメンバーは、2024年6月25日・26日にTEAMフットサポーター’sの一員として「被災地域に温もりあるフットケアを届ける」ために岩手県社会福祉法人典人会の災害介護派遣チーム(DCAT)と協働して、石川県加賀市・小松市・輪島市の高齢者施設へフットケア支援に行きました。
加賀市と小松市に所在する高齢者施設は、被災を受けながらも通常の利用者様に加え避難されたお年寄りの受け入れを行う施設でもあり、倍増した利用者様の身体介護を含めメンタルケアに奮闘されていました。被災生活も長期化した介護現場でのお年寄りや地域の方々、そして職員の皆様へのフットケアを行いながら、この6カ月間の被災者の生の声と体験談を聴き、震災の現状と職員の皆様方の疲労を足もとから感じとることができました。同時に、フットケア体感者からの「すっきりして楽になった」「気持ち良かった。幸せや」という有難い笑顔と喜びの言葉を聞くことができ、改めて災害支援フットケアの必要性を感じました。また、災害支援フットケアに関するアンケート調査では、「利用者様への難しい爪の整え方について難儀する課題」や「避難所での簡便な保清方法」など、被災後も継続してフットケアを行えるような職員に対する学びの場所が欲しいとの意見も頂きました。
私は、有難いことに地元(愛知県)に戻り、社会福祉協議会・市民団体の方々へ石川県の災害支援フットケア活動の報告をさせて頂きました。防災備品に足用爪切りを入れているか・普段からの足のお手入れの大切さ・避難できる靴の在り方・復興支援に今できることは何か等のお話を交えながら、南海トラフ地震における防災について深く考える良い機会となりました。
防災の基本は、自助共助公助です。まず自分で備えることを考えねばなりません。また、避難所生活は長引く可能性があります。皆様の防災グッズの中に「足用爪切り」は入っていますか?避難所での爪切りが必要になることが予測されますので、直刃の足用爪切りを各自ご準備下さい。
爪は動作に必要で、爪の形によってその動作に影響がでます。手の爪は、物をつかみ作業をする役割があり、足の爪は、以下の役割があります。
【足の爪の役割】
- ゆび先を保護する。
- ゆび先の感覚を鋭敏にする。
- 身体を支えバランスを安定させる。
- 歩行時の蹴りぬく力を増強する。
足の爪の役割を最大限に生かすためには、爪先を真直ぐに切り、角をヤスリで整える「スクエアカット」が基本です。※
足の爪は手の爪と比べて伸びが遅く、1日で0.05mmしか伸びません。
爪を切りすぎると、深爪となり爪角が皮膚に刺さり炎症がなかなか治りません。逆に、爪が伸び過ぎると、爪のトラブル(巻き爪・爪が欠ける・趾先が靴の先端にあたり爪の下で出血する・爪が剥がれる)等が起こる危険性もあります。また、生活を営む皆様方の爪は、爪の形や厚さにトラブルを抱えている方も少なくありません。爪の切り方が難しく不安な方は、適正な爪の切り方についてのアドバイスを受け、日頃から災害時の足の健康管理に備えましょう。
足のナースステーション歩っとLife 長利麻衣子
監修:足のナースステーショングループ