「Happy+=ハッピープラス」No.58

「猫の肉球」

 毎日お店にやってくる地域猫のたまちゃんが、珍しく肉球を触らせてくれました。触っているうちに「どうしてこんなに柔らかいのに、硬いコンクリートや屋根の上に飛び乗っても怪我をせずに柔らかいのだろう」と不思議に思い、調べたところ、猫と人間は生態や生活環境は違っていても、足の機能を維持するために共通のメカニズムがあることが分かりました。

衝撃吸収と静音機能
 猫の肉球内部は、衝撃吸収に耐えるため、脂肪組織とコラーゲンで出来ており、高所からの着地時や走行時、骨・関節の負担を軽減します。また、獲物を捕獲する時気づかれないように足音を消すことができます。
 人間の足には肉球はありませんが、足のアーチ構造がしなやかに動くことにより地面からの衝撃を吸収しています。

感覚器官
 猫の肉球に備わっている感覚受容器は、地面の質感、温度、振動等の情報を敏感に得て脳に伝達することで周囲環境を把握し、安全に移動することができます。
 人間の足の裏にも感覚受容器である「メカノレセプター」が存在します。「メカノレセプター」は、地面の硬さ、凹凸、傾き、体重のかかり具合といった情報を脳に伝えます。脳はその情報に基づいて、体が転倒しないように筋肉に指令を出し姿勢を調整しています。

体温調節と滑り止め
 猫の体は汗腺が少なく熱がこもりやすいため、肉球から汗をかくことで体温調節を助けています。また、適度に肉球を汗で湿らせて地面との摩擦を生むことで、滑り止めとして機能します。急ブレーキや方向転換、高い場所へのジャンプや着地を安定させます。
 人間の足裏にも汗腺が存在します。汗が体温調節や足裏の皮膚乾燥トラブルを防ぐ役割を担っています。

肉球のセルフケア
 たまちゃんは、熱いコンクリートや冷たい枯草の上を歩くなど過酷な環境にさらされることがありますが、肉球には傷ひとつありません。それは、発汗ができていることと、頻繁に舌で舐めて肉球のお手入れをしているためです。猫自ら肉球を清潔に保ち、適切な水分を保持するためのセルフケア行動と言えるでしょう。
 人間も、「汗は天然の美容液」とも言われるように、適度な汗は肌の健康に良い影響を与えます。冬になると、空気の乾燥や化繊の衣類等により肌が乾燥しがちです。体重がかかりやすい踵は、ひび割れなどを引き起こすことが多く、すねやふくらはぎの皮膚にも湿疹やかゆみなど皮膚トラブルが増える傾向にあります。セルフケアを行い、健康な足を守っていきましょう。
足のナースステーショングループでは、足の角質トラブルケアやセルフケア方法もお伝えしています。角質トラブルでお悩みの方は、気軽にご相談ください。

足の健康な皮膚を保つための三つの「保」

「保清」
・石鹸で足裏や足指をよく洗い、清潔なタオルで水分を十分ふき取りましょう。
「保湿」
・足は乾燥し易く保湿剤の吸収性も悪い部分です。膝下から趾先まで、たっぷりと(保湿量片足2g)保湿しましょう。乾燥が強い方は化粧水+クリームがおすすめです。
「保護」
・靴下は通気性のよいものを選びましょう。
・靴は湿気がこもらないように乾燥を心掛け、数足を履き回すようにしましょう。また、洗える靴は洗濯し、清潔を保ちましょう。

足のナースステーション歩っとLife 長利麻衣子
監修:足のナースステーショングループ

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